ライフストリーム

絵を描いたり雑記を書いたり

消えゆく町のゲーム屋さん

スポンサーリンク

子供の頃からテレビゲームが大好きだった。

好きなソフトを挙げるとキリがない。
マリオやFFと言った魅力的な作品を前にした子どもにとって
「ゲームは1日1時間」という暗黙の名人ルールがコモンセンス(使い方間違ってるかも)になることはなかった。

「じいちゃんがアダプターを抜く」
「プレステを縦に置かないとロードしなくなる」
「ゼノギアスのDISC2が小学生には難しすぎる」

など、ハードを問わずゲームに関する思い出は尽きない。
家を出て一人暮らしを始めると、人生で一番ゲームができる大学生活を送ることになった。PS3を購入してからはオンラインの魔物に取り憑かれ、プレイを止めるものは誰もいなくなった。ゲームは友達!


2010年頃、一人暮らしを初めて1年ほど経って馴染みの店もいくつかできた。
その中には当然ゲームソフト販売店も。
当時通っていた大学の近くにはファミックスというゲーム屋さんがあった。
中古ゲームソフトの販売やトレーディングカードの販売を行う一般的なゲーム屋さんだ。ちょうどアルバイト募集をしていたので、どうせなら好きなことを…ゲームに携わるバイトがしてみたいと思った僕は応募してみることに。
社割もあるかなって思ったし。



店長「好きなゲームのジャンルは?」

ぼく「RPGですね、FFとか好きです」


店長「…FF13やった?」


ぼく「…やりました」


店長「…面白く…」


ぼく「…なかったですね…!」


店長「だよねぇ~w!」



そんな感じでゲーム談義に華が咲き、週に何日勤務できるか、時給は少ないけど大丈夫か、など簡単な質疑応答を終えた。
好感触で面接を終えて後日電話が掛かってきて、普通に落ちた。
不採用の理由は不明だが、ひょっとしたら店長は元スクエニ社員だったのかもしれない。ごめんノムリッシュ。

面接に落ちてからは神、つまり客としてお店に足繁く通う事になる。
クソゲーを売りに来た時には愚痴トークが始まり、ソフトの購入を迷っている時にはネタバレを避けた絶妙なセールストークが始まったりと店員さんとのちょっとしたやり取りも増えた。一回普通にアサシンクリードのネタバレをされた時には、精神的苦痛へのお詫びとして値段を割引してくれた。

そんな感じで大学4年間ファミックスには相当お世話になったように思う。
別に買うものがなくても、ソフトのラインナップを眺めたりPOPを読んだりするだけでも楽しかったものだ。



大学を卒業し引っ越してからは、遠方になったこともあり店に顔をだすことは少なくなった。社会人になって2年ほど経った頃だろうか。久しぶりに店に訪れると…





閉店ガラガラ!ワァーオ!!!



店内は閉店セールということで閑散としていた。もう既に面白いソフトは軒並み売れており、残っているのはクソゲーとかそんなに興味を惹かないソフトばかり。
デュエリストで賑わっていたトレカコーナーもほぼ何も無くなっていた。店長が替わっていたので店員と話すことはできなかったが、時代の流れというやつだろうか。
ため息を付きながら他の店舗に行くと、なんとそこも既に閉店していた。
スタンプをあと2個集めたら1000円割引だったのに…



便利なもので、最近のゲームはパッケージを購入しなくても家にいながらネットで購入できるようになった。ブックオフやGEOなどゲームソフト以外も取り扱う複合店なら
いざしらず、ゲーム・トレカだけを取り扱うお店の営業が思うように奮わないのも
無理はないのかもしれない。


確かにPCやテレビの画面に映るソフトを選び、家にいながら欲しいものを購入するというのは便利だ。わざわざ店舗に足を運ぶ必要はないし、支払いはクレジットカードでパパっと終了(後日ドドッと請求)

超便利…んだけど


んだけどぉ~ん。



それでも僕は、微妙に面倒な道のりを踏破して店の扉を開け、ゲームがずら~っと並ぶ棚をざっかざかと歩き見渡し。値引きされた中古ソフトのパッケージを小一時間眺めて結局買わずに元来た道を帰るという、あの無駄な時間が好きだった。

「中盤までは面白いんですけどね~」とか言う店員個人の感想が書かれた手書きのPOPも面白かったし(ファミ通レビューと違って面白くないとか正直に書いてるので信用できる)客がいない時にレジで交わすゲーム談義も楽しかった。
遊戯王に白熱する学生たちの怒号は良い感じに五月蝿かった。
PS3が当たる!とされるUFOキャッチャーと言う名の確率機はカスリもしなかった。

もっと昔であれば、小学生の頃兄と行った地元のゲーム屋さんを思い出す。
そこは夫婦で営む小さいお店だった。残念だが、そこも今はもう無い。



次々に生まれる良質なサービスや制度の裏で、今までお世話になっていた店や物が無くなっていくのだろうか。
僕もダウンロードでゲームを買うことはあるし決して今の流れを否定はしない。


けどやっぱり、寂しいなぁー。

ただそれだけなんだけど。


寂しいっていうのは、慣れませんね。


そんな感じこんな感じ。