台風が来ると、僕が風の能力者だった少年時代を思い出す
どうも、ホーリーです。
台風が接近しています。
世間では月曜が休みになるかどうかの瀬戸際、僕は休日です。
地球の都合の前には仕事があるとかないとか些細な問題なんですよ。ちくしょう。
個人的な印象ですが、ここ数年は台風が発生してもあまり上陸とはならず、子供の頃の方が今よりも多く来ていた気がします。
子供の僕にとって台風上陸日といえば「学校が休みになるかどうかのイベントデー」みたいなもので(あまり今と変わらない)例え休みにならず登校となっても、強風により同級生の女の子のスカー…
え、なんですかその目は。
嫌だな、スカー(傷の男)の話をしようとしたんですよ。
さて、さすがにここから鋼の錬金術師トークは無理がある、仕方ないので実写映画を観る前から批判する「まだ実写化で消耗しているの?」という五番煎じくらいの記事を書こうと腹をくくりましたが、ガンガンつながりでふと黒歴史を思い出したのでその話をしましょうそうしましょ。
僕が小学生の頃
「東京アンダーグラウンド」という漫画が(僕の中で)流行っていました。
いわゆるバトルファンタジー漫画なんですが、絶賛色んな物に影響を受けやすい僕はすぐに作中の登場人物の口癖を真似したり、ヒロインのルリ様と一緒に旅する妄想に勤しみました。たまにサブヒロインのチェルシーと添い寝することもあり、素敵な青春時代を過ごしていました。
特に僕が影響を受けたのはやはり「必殺技」
キャラクターは1人1つ「重力」や「炎」「磁力」といった「能力」を持っており
今でこそ珍しく無い設定だが、僕は多種多様な能力者に惹かれ、特に主人公の「風」の能力には憧れを持っていました。
周りの友達が将来の夢をサッカー選手とか言ってる中、僕は「風使い」ですよ。
格が違いすぎて涙が出てきます。
「風を操りたい!」
若干9歳くらいの少年の夢を否定する、心優しい人間は近くに居いませんでした。
ちなみにドラゴンボールにハマった時は母に「僕も超サイヤ人になれるかな…」と相談したことがあります。
「相当の努力が必要よ、まずはベランダで練習しなさい」と言うような返事が返ってきた覚えがあり、子供心を傷つけず、尚且つ飽きるのを見越して修行を促すという、今思えば実に良い一手だったよ母。
そんなこんなで僕の風使いとしての修行が始まった。
まず、主人公のルミナは剣術がつよい(小学生並の着眼点)
よって僕も剣の達人になる必要がある。
兄の修学旅行土産の木刀を借り、素振りを始めた。毎日毎日振った。
手に豆ができ、潰れまくって普通に痛かったのでサボりまくった。
剣圧で風切音を出すのが単純に面白かった覚えがある。んなことで効用を満たすぐらいなら英単語でも覚えとけよって話ですよ。
そして基礎ができたら次はいよいよ必殺技だ。
ルミナには「烈風」という、巨大なカマイタチ的な風を飛ばす必殺技があった。
風…すごい風…巨大な風力…
その時テレビからこんな声が聴こえてきた。
「非常に強い大型の台風が接近しています」
これやん。
僕は台風の日に木刀を振った。
隣の家の瓦は飛び、看板が転がっていた(我が家の瓦も良く飛んだ)
雨は真横から顔面にぶち当たる。枝はしなり、何かしらんけど停電は起こり近くの公民館に避難する人も居た。
この風は…俺が起こした風だ!
これが僕の烈風完成の瞬間である。
ってなんでやねん!
そして、10数年の月日が流れた。
その後、僕が風の能力者として覚醒することはもちろん無かったし、我が人生において可愛いヒロインも現れることはなかった。可愛くないヒロインは何人かいたけど。
中学ではバスケ部に入り、剣の修行もやめた。
その際はスラムダンクや、クロスオーバーという今で言う黒子のバスケ的な漫画を読んでしまいそれはそれでエライ目に合う。古武術バスケとか、真に受けちゃうんでやめてください!
思えば誰もあの奇怪な行動を叱ることも咎めることも無かったのは幸か不幸か。
や、考えてみれば、皆子供の頃はそうだったのだろう。
ヒーローに憧れ、その行いを真似をしたんだ。
かめはめ波…アバンストラッシュ…もっと前ならなんだろう、バビル2世とかだろうか?子供だった僕たちは、力がなかった。いつも親や先生が上にいた。
だから超人的な力に憧れたんだろうか。
そして歳を取るに連れ、僕らは気の一つも出せない普通の人間だと気づき…
全てを超越した存在に見えた親や先生も、ただただ必死に生きていたことを知る。
そうして大人になっていった。
2016年、良い感じの大人になった僕は今でも漫画が好きで、色々読む。
流石にもう能力者になろうとは思わないが、代わりにキャラクターの心情や作者の考え方などを汲み取るようになった。
昔は気付かなかったフラグを見つけたり、意味がわからなかった単語を理解することで、同じ作品を読んでも子供の頃とは違う感想を抱くものだった。
もし今「東京アンダーグラウンド」を読むことがあれば、木刀を振ろうとは思わない。
その代わり、あの時とは違いこう思うはずだ。
「メインヒロインよりサブヒロインのほうが、すきやなあ」
※抱かれてるのがメイン。抱いてるのがサブ
そんな台風の日の思い出でした。